今回の予測が2007年予測くらい実現したアカツキには、来年は有料サービスにしようかと思っています。2008年は7件の予測をお届けします。

ざっと言うと:Google, Yahoo, FacebookならびにeBayの展望、オンライン・プロパティーの価値変遷、Microsoftのパニック、そしてみんな大げんか

昨年、私たちが見たものは、Social Graphにまつわる論争にまで発展したユーザー・アイデンティティに関する論議。引き続いて今年は、アイデンティティ・プラットフォームについての争いを見ることが出来るでしょう。神Google様はすでに優勢な位置を占めており、また、Facebookも強みがあります(何百人もの実名の、ハイ・プロファイルなメンバーと外部作成によるアプリケーションの経験は貴重です)。Yahooがそれらを必死に追随している状態です。 というとYahooが遅れをとっているように見えますが、彼らには隠しダマがあるのです。ひとつ、我々が確信を持っているのは:ニュースが今年の鍵を握る。ということです。

1.Google

Office戦線でのMicrosoftへの正面攻撃

シュミット、ブリン、ペイジ、サーフは私たちのファンタスティック・フォーです。もし彼らが本気を決めたら、Microsoftを窮地に追いやることなど簡単です。私がもしファンタスティック・フォーの一員だったら、Google Docsの無料クライアントをリリースします。アイデアは簡単です。デスクトップ用の、安定性の高い、通信状態に関係なく利用できる、そして使いやすい(特にGoogle Calculator) Google Docsです。技術的には難しい要求ではないでしょう。どうして、まだリリースされていないのか不思議なくらいです。もしGoogleからOfficeソフトがリリースされたら-既存規格に準拠し、基本のofficeソフト機能をすべて備えたものであれば-Microsoftにはマグニチュード8クラスの衝撃です。もちろん、ほんもののファンタスティック・フォーはおそらくもっといいアイデアを隠しているに違いないと、私は信じていますが。(Google Docsと携帯電話分野に関するものは、確実に)楽しみな話です。

Google教?の勃興

さて、宗教においては、1)人々の習慣を形成するほどの力 2)真実をたずねる拠り所となり得るほどの影響力 3)人間性を映し出す鏡としての役割 4)絶対的なものへの傾倒の4つの要素が重要です。

  1. Googleはすでに大半のインターネット・ユーザーの日常的な習慣となっています。人々の情報収集のプロセスに、うまく入り込むことに成功した結果です。
  2. Googleはまさに人々が真実をたずねる拠り所となりました。絶対的な一つの解をもたらすことはありませんが、私たちの祈り(検索ワード)に応えて、可能性のある一連の解を選択肢として提示してくれます。
  3. Googleはまた、人間性を映し出す鏡としての役割も果たすようになりました;つまり、検索結果をユーザーによって調節するようになったのです。今はまだ、これは風刺やジョークの世界の話かも知れません、(たとえば、ヴィントン・サーフの肩書チーフ・インターネット・エヴァンジェリストなんて突っ込みどころ満載です)そしておそらく、Googleに祈りを捧げるような変わり者が現れるのも時間の問題でしょう。
  4. Googleは絶対君主への道を歩み続けています。インターネット、そして皆さんのデスクトップにおいて、重要な部分を独占しようとしているのです。Googleは検索分野における独占状態、オンライン広告の独占を形成しつつ、モバイル・プラットフォーム分野にも攻め入り、オンラインID界でドメインを征服し、メール・サービスにも手を伸ばし、そしてplug-inの新しいサービスにまで手を出そうとしています。(最近のうわさでは、Wikipediaにまで挑戦しようとしているとか)

私たちiAはGoogleを尊敬します。しかし、私たちはただ強くて大きなGoogleよりも、多様性のある世界を望みます。第二のMicrosoftなんて必要ありません。しかしGoogleは、史上最強の独占企業になりつつあります。「史上最強」、Google帝国は大変に注意深く知識の上に築き上げられているからです。

これがどんなにスパムがきても、私たちがGmailを使わない理由の一つです。(Gmailには大量のデータを持っているというアドバンテージがあり、どこよりも効率よくスパムメールのフィルタリングを行うことが出来ます)代わりに、私たちはGoogleに良いライバルが現れる、もしくは新たなMicrosoftに太刀打ちできるような新たなAppleが出現するのを期待しているのです。そして、新たな検索エンジンの台頭を期待します。買収に負けない、小さいけれど有望な企業が現れるのを期待します。 そして、Googleの名において、聞きたい。オンラインの世界には、どうして独禁法がないのでしょうか。

2.Facebookは自身をオンラインIDサービスとして再定義

そろそろ目を覚ましましょう。Facebookなんて退屈です。そして面倒くさい。そしてバカバカしい。あなたの友人の妹のルームメイトの(あなたがあったこともない)お母さんが、雨の日の日曜の午後に、どんな飲み物を飲みたがっているのか、本当に興味がありますか。周りのフツウのひとのフツウの生活なんて、退屈でおもしろくない。Facebookの本当の財産は、その巨大なデータベースです。実名のデータベース。Facebookはアプリケーション・スパムを殺し、要らない機能をなくし、ユーザーのソーシャル・グラフをもっと利用するべきです。私は今、21世紀前半のFacebookが上述のGoogleに対抗できる「新たなApple」になってくれるのではないかという期待を持っています。

[追記] 私たちがこの記事を書いた直後、この予言はすでに実現することになりました。2008年が始まってすぐ、GoogleとFacebookはdataportability.orgオンラインIDワークグループに加盟することを発表しています。

3. eBayは受難

eBay:すばらしいアイデアを持って、始まったときからベストの状態で来たeBayですが、どうやら体調不良のようです。失敗した経営のニオイがここかしこに-とくにグラフィック的になんとも貧弱なサイトのリデザインはAltavistaの失敗を想起させます。現在のeBayサイト は、まるでフェイク・ドメインページのようです。そして人々は新たな事実に気付き始めてしまいました-オークションというのは、売る人ばかりが得をするということ。(オークションに参加しているほとんどの人は正直であるにも関わらず、魔法のような、数学的な理由から起こる事実です。)しかしeBayにはFacebookと同じような強みがあります。ユーザー情報です。Facebook、StumbleUpon、そしてSkype(すばらしい商品です。Skypeバッシング反対!)も含めて、かれらは莫大なIDマネーを保有しているのです。

4. Rage Against the Machine

来年は、いろいろな場面で政治的なやり取りが増えてくるでしょう。私たちにはDiggがNewscorpに本当に買収されるのか、それはいつか、とか、Wall Street Journalに何が起こるのかとか、Googleが新たに間違ったオンライン・レジームに手を貸すことになるのかとか、オリンピックでなにか起きるのか、とか、アメリカ大統領選挙中にブログが検閲を受けるようなことがあるか、とか、YahooがMicrosoftに買収されるのか、とか、わからないことはたくさんありますが、ただ確かに言えるのは、2008年、きっと怒った人々がHTTP式の火炎瓶を片手に大暴れ、なんていうことが起こるのではないかということ。激動の1968年デジタル版。

5. 携帯端末化、SMSよさらば

「インターネット」という言葉自体、そろそろ時代遅れになってくるのではないでしょうか。全てのものは「接続」しているかどうか、という話に収束されていくのです。これから人々(特に若者)が携帯端末からのネット接続を利用するようになってくると、このことはいっそう重要な意味を持つようになるでしょう。私たちの期待を込めた観測から言えば、SMSは全世界から消えうせ E-mailに取って代わられることとなるでしょう。Androidはとうとう西洋携帯電話世界を開眼させました。

6. 新聞

誰よりも早く気付いたのはマードックでした。オンライン・ニュースの世界に莫大なおカネが埋もれていることに。そして、The New York Timesは、すばらしいインフォメーション・デザイナーに恵まれました。The Washington Postは、いまだにナンセンス極まりない2ブランド体制のお陰で低迷中です。新聞業界は気付かなければいけない時期に来ています。そろそろオンライン・プロパティにも投資し、提携を組み(The New York TimesとMSNBCがいい例です)、そして良いライターにお金をかけなければ、この先やっていけません。そうしないと、巨大なオンライン・メディアに飲み込まれ、彼らのニュース戦略の一部に組み込まれてしまうことでしょう。金銭的な話をすれば、トップクラスのジャーナリストやライターたち、そしてハイ・エンドのニュースには、もっと見返りが入る仕組みができていなければいけません。ニュースのインフレ時代といわれる今、質の高い情報に価値があるのです。ルパート・マードック氏はこのことを良く知っていました。十分な報酬を支払わずに安いフリーのライターを使うのではなく、もっと情報に投資するべきです。新聞ビジネスのあり方自体が再考されるべき時期に来ていると言えるでしょう。堅苦しく、ページびっしりで読みづらい今の新聞は、オンラインの世界で新たな変革を遂げることが出来るはずです。

7. Yahooの切り札

どうしてこんな大きなことが、さして注目を集めずこっそり進んだのかわかりません。しかし私たちの見る限り2007年には多くの新聞がオンライン広告のビジネスをYahooに委ねることとなりました。多くのブロガー達があちこちのサイトの小さなニュースに大騒ぎしているうちに、Yahooはアメリカのニュースビジネスをごっそり持っていったのです。(以下抜粋):

この提携には176のローカル紙が参加し、12月より各紙はYahooの求人サイトHot Jobsの運用を開始する。今後さらにその他の広告、ニュース・コンテンツの共有、及び検索サービスなどの分野に提携を広げるという。これによりYahooのローカル情報分野でのプレゼンスが増え、またローカル紙各社にとっては自社の広告やコンテンツが全国的に利用される機会が与えられることとなる。(抜粋終わり、訳iA)

そうこうしているうちに、240ものローカル紙各社がYahooの魅力に引き寄せられるように吸い込まれています。夢の国で迷子にさえならなければ、Yahooはオンライン・ニュースのドンとしてカムバックを果たすことが出来るでしょう。戦略的にはYahooは舞台裏の交渉が得意なようです。ユーザー・エンドでは(Yahooの建前上の一番の関心先)現在のYahooはGoogleにとても歯が立ちません。Yahooは今、ひそかにノウハウを蓄えてパワーアップを図っているのです。そしてそのノウハウには、Googleが今優位に立つ秘密ももちろん含まれています。Googleはブランド=インターフェイスという公式をまさに身をもって証明し、このブランド/インターフェイス競争をリードし続けています。IBMなどの昔からの多くのブランドがレースから降りざるを得ない状況に追い込まれました。長い目で見れば、YahooもMicrosoftもいつかこちら側にふるい落とされるかもしれません。Yahooはまだ大丈夫です、しかしMicrosoftは、(ビル・ゲイツだけでなくブランド全体として)そろそろエンド・ユーザー・プロダクツから引退されるご準備を始める時期かもしれません。

ブランド力のリトマス試験紙:ブランドの裏のパーソナリティ

ここまで来て、私たちが行き過ぎだと思われたら(確かに私たちは言い過ぎましたが!)こちらのリトマス試験結果をご覧下さい。強いブランドには、カリスマ性とアイデアを実行に移すことの出来る力を併せ持つ強いパーソナリティが不可欠です。つまり、ブランドのこれからを見るには、それを率いるパワーを見れば良いのです。ブリンとペイジ(Google)は、強力です。バルマー(Microsoft)はどちらかというともっと変人に近いでしょうか。ジョブス(Apple)はいつも変わらずスーパー・アクティブです。ジェリー・ヤン(Yahoo)はいつも自信のない顔をしています。そしてマードック(Newscorp)はパルパティーン皇帝みたいな顔をしているし、多分あのビリビリってくるやつも出してきそうなパワフルさです。でも、さすがに、ルーク・オバマ・スカイウォーカー(USA)の勢いをとめることは出来ないでしょう。(希望)

たくさんのスーパーヒーローと、神と、そしてマンガ級の悪役、、これからの展開から目が離せません。