IT革命は私たちの生活に自由と豊かさを与えるべく期待されていました。自由。プロパガンダからの自由、無意味なTV放送からの自由、過剰宣伝からの自由。そして豊かさとは、単調な仕事は機械にまかせ、生活に時間のゆとりという豊かさ。さて、それで、実際のところはどうだったのでしょうか。
善玉インターネット革命
- 以前に比べ人々はものを読んだり、書いたりする機会が増えました。
- デジタルパブリケーション技術の一般化(つまりは「ブログ」のことですが)によりロケットエンジン級の言論の自由がもたらされました。
- ニュースのアクセス性と透明性は向上しました。
- インターネットは、自分たちに不都合な情報をごまかしたり、粉飾したりしようとする不貞の輩にとっては脅威となりました。
- 投票前には、政治家の中身までじっくり吟味できるようになりました。
そして何より大事なのが、これらすべてが無料でもたらされたと言うことです。 しかしいい話ばかりではありません、
悪玉インターネット革命
- しかし同時にインターネット革命は多くのジャンクデータを落としていき、そして私たちの自由な時間は減りました。
- 受け箱には多くの仕事が舞い込み、そして私たちの集中力は奪われました。
- 人々はさらに悪質さを増した広告類(スパム)に悩まされることになりました。
- 読み書きの機会は増えましたが、もっと(短いメッセージなどを)書いたり、さらに(ジャンクな情報を)読んだりする機会が増えました。
- 企業はずる賢さを向上させました。(ウイルス広告、有料コメント、そして「ソーシャル・メディア・コンサルタント」などで)
- 私たちはブログ、twitter、tumbler、そしてfacebookなどで、互いを出し抜こうと切磋琢磨するハメになりました。
- 私たちは、気付かないうちに周りの人間をスパムやストーカー、サイコなどのヴァーチャル・ヴァンパイアがひっそりと待ち受けるサイトにさらし続けています。
つまり、正確に申し上げますと、私たちは決して自由にはなりませんでした。「即席簡易情報中毒者(ファスト・フード・データ・ジャンキー)」これが今の私たちです。どうしてこんなことに?
歴史は繰り返す
革命とは悪循環です。フランスが、あの眠たい王様ルイ16世を退けてから、急進的なロベスピエールそしてかの残虐非道の暴君ナポレオンを据えたことを思い出してください。そして、私たちには一体何がおこったのでしょうか。
皮肉なことに、人々はいまだに、インターネットは自分たちのものだと信じて疑いません。「ウェブの大衆支配」について懸念を示すジャーナリストすらいるのです。
しかし、真相はと言うと、ワールド・ワイド・ウェブの世界はわずか数人の帝王の手のうちにあるのです。Google、Yahoo!、そしてマイクロソフトという名の帝王たちは、すでにしばらく昔、ウェブ世界のテリトリー分割を行いました。今や、ウェブ3帝王のテリトリー外でウェブサービスを始めて、商売にしようと考えたなら、それは、「現実(リアル)」世界で商売を始めるよりはるかに大変です。
起業家蜃気楼
成功したスタートアップ企業のサクセス・ストーリーを聞いていると(例えば、Youtubeなど)、人気ウェブサイトで成功するという夢、ユーザーを増やし商売が軌道に乗るまでも上質の情報しか提供しないという夢、なんていうものが幻でしかないということが分かるでしょう。情熱を持った多くの若者が、惑わされ、そして死の乾きにいざなわれる蜃気楼。3帝王の世界で成功しようと思ったら、コネとカネが必需なのです。
さらに残念な話には、スティーブ・バルマー氏は現在Yahoo!を乗っ取り3帝王から2帝王への減員を企図しています。そして実際のところこの話、お仲間の手助けを得て、なんとかなってしまいそうな流れになっています。そしてもちろんその後は、デジタル版ロシア侵攻計画、ページ/ブリン皇帝も狙われています。
確実なことは一つ。革命は終わったのです。そしてウェブ・ナポレオン時代の到来です。さて、では革命は結局のところ、我々に何をもたらしたのでしょうか。
宮殿発の皮肉
ロマンティックな方々はこんな話聞きたくないとおっしゃるでしょう。でも真実はこうです。フランス革命の本当の原因はパンが足りなくなったからです。皮肉にも、世界的に有名なフランス料理( ルイ15世の時代に起こり、ルイ16世で完成されました)の歴史は、ルイ16世が断頭台に乗せられた後にさかのぼることが出来るのです。宮殿に抱えられていた何千もの料理人は、職を失い、生き残るためにパリ中でブルジョアのためのレストランを開きました。
そして、今、私たちは情報ソムリエという職業を選択できるようになりました。(IT革命の前はこんな仕事ありませんでした)。今日、美味しい情報はここかしこにあふれています。それらを選び取る作業が必要になってきました。つまりは、減らす、ということです。Eメールアカウントを一つに洗い落とし、Facebookの面倒なわさわさをみじん切りに、Linked-inアカウントをピーラーでむきとり、Twitterアカウントを揚げましょう。携帯電話は冷凍庫で凍らせて。そして、どうぞ召し上がれ!